■縄文×樹の住まい舎

縄文×樹の住まい舎オブジェ「縄文からの遺産」

縄文。

土器や生活用品に添えられた模様や、独特なデザイン、大胆で繊細なうつくしさ。
現代のように古今東西の芸術やアートに触れることがなかったであろう時代。
感性はどこからやってきたのだろうか。

その答えとして、自分なりの解釈でこう感じました。


自然の恵みに感謝の気持ちを抱いていた縄文の人々、
その精神性と文化が反映されたものなのかもしれない。
自然との付き合い方から見ても、文化度が非常に高かったのではないか。


これまで、縄文に触れてインスピレーションを受けたことは2度ありました。

1度目は、10数年前に三内丸山遺跡で、石棒という日用品を手に持った時のこみ上げる懐かしさ。
2度目は2021年冬、東京の縄文展で数々の土器など生活用品を見たことをきっかけに、自然の恵みをいただき生きていることへの感謝と、精巧な循環システムへの畏敬の気持を感じたこと。

これは樹の住まい舎が考えている自然への思いと同じものでした。
オブジェとして、伝えたい。
「自然と生きる縄文」を表現するオブジェを作ったきっかけです。

現在、「縄文からの遺産」「縄文のいしずえ」の2つが完成しましたので紹介します。
2022、3つ目の制作に取り組みます。



       縄文からの遺産 ネイチャースピリットガイド 佐藤 良則
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この船のような形のオブジェは、縄文からの遺産と名付けました。
塗料は、自然塗料の松脂オイルで仕上げています。

素材は、樹の住まい舎のアトリエ庭で以前生きていた、直径約35㎝のミズナラの木です。
ミズナラはドングリをたくさんつけます。
この木は諸事情で数年前に倒すことになり、その幹を残してありました。


この縄文からの遺産は、白と黒のコントラストが印象的です。
下の写真は製作途中のものでわかりやすいです。

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これは、白い部分は、そもそもの健康な木の繊維です。
黒い部分は、木材・腐朽菌(フキュウキン)が入っている部分です。
木は、倒れて土に触れるとやがて腐朽菌が入ります。


木の種類や太さによっても違いますが、
自然に倒れた状態だと1年位、3-5年程度でブヨブヨになってやがて土に還ります。


つまり、立って生命活動を営んでいた木の名残である健康な木の繊維が残っている部分と、
もう営みを終えた象徴である腐朽菌がある部分。

「縄文からの遺産」には、この自然界の精巧で神秘的な循環システムが、
目に見える形として、この白と黒のコントラストに表現されています。


このミズナラは、2002年の秋。初めて首都圏でのエコイベント
「アースデイ千葉」に参加した時に、実はひょんなことで
となりの出展者さんから物々交換でいただきました。


翌年地面に植えたらみるみる育ち、
直径35㎝のミズナラとして、毎年大量のドングリを実らせ、
横浜でも、自然が残る地域に生きるリスや鳥など野生の動物たちに食料を提供し、
ヤドリギになっていた思い出深いシンボルツリー的存在です。

一緒に写っているミズナラの葉は、落ちたドングリから発芽した子孫で、
ドングリは、このオブジェが生命活動を営んでいたころ、実らせたものです。

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縄文のいしずえ ネイチャースピリットガイド 佐藤 良則

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・素材:ミズナラ ・塗料:松脂オイル

この深いうつわのような形のオブジェは、「縄文のいしずえ」と名付けました。
日々の生活で使われていた土器からインスピレーションをもらっています。

縄文では日々、土器で木の実や海・森の幸などの煮炊きをして生活を営んでいました。
土器はどっしりと生活に根差していながら、
繊細で大胆な模様を付けたり、形状を美しく整えたりされている。

生活用品でありながら、素朴で繊細かつ楽しそうなアート。
この2つの要素を持つのが、縄文土器の特徴だと感じます。

縄文のいしずえでも、自然に感謝し、自然と共に生きる縄文を表現しています。

制作途中の様子です。
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